SCM8000 series

PBIアドバンストマテリアルズでは、UPI (Ultra high-performance Polyimide) SCM8000 seriesの開発を行っており、2019年夏頃を目処に販売を開始する予定です。

SCM8000 seriesは、宇部興産製ポリイミドを原料に、PBIアドバンストマテリアルズのPBIメソッドにより成形した切削加工用素材です。宇部興産製ポリイミドはビフェニルテトラカルボン酸二無水物 (BPDA)をベースにしており、従来のポリイミドに比べて大幅な「耐熱性の向上」、「吸水性の低減」を実現しております。特に、荷重たわみ温度は480°C程度と樹脂材料の中では最高域に達します。

 

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ポリイミドとは

ポリイミドとは、分子鎖内にイミド結合を含む高分子化合物の総称で、その中でも芳香族ポリイミドは、機械強度が高く、耐熱性、電気絶縁性や耐薬品性に優れるため、航空宇宙、自動車、電気電子分野で幅広く利用されています。

ポリイミド樹脂は大きく「架橋型 (熱硬化型)」 と「直鎖型」 に分類され、PBIアドバンストマテリアルズでは直鎖型ポリイミドを取り扱っています。

 

ポリイミドの種類 (直鎖型)

直鎖型ポリイミドの多くは、テトラカルボン酸無水物とジアミンの重縮合により合成されます。この酸無水物とジアミンの組み合わせ (下図XとYの違い) により、種々の特性を示します。

 

 

 

 

 

 

 

直鎖型ポリイミドは、溶融加工が可能な「熱可塑性ポリイミド」、転移温度が高く溶融加工ができない「非熱可塑性ポリイミド」に分類できます。この熱可塑性、非熱可塑性の違いも、酸無水物とジアミンの組み合わせにより生じます。

ポリイミドの合成に使用される代表的なテトラカルボン酸無水物を以下に示します。

 

酸無水物 化学構造 合成されるポリイミドの特徴 切削加工用素材
PMDA 耐熱性 一般的なポリイミド
BPDA 高耐熱性

低吸水性

SCM8000

他社高耐熱性ポリイミド

BTDA 高強度

耐衝撃性

SCM6000 (BTDA+PMDA)
ODPA 熱可塑性

溶剤可溶性

6FDA 無色透明

低誘電率

注: 上記は酸無水物から合成されるポリイミドの代表的な特徴の一例です。組み合わせるジアミン成分により特徴は異なります。

 

PBIアドバンストマテリアルズのポリイミド製品

PBIアドバンストマテリアルズにて取り扱っているポリイミド製品を以下に示します。

 

  グレード名 分類 特徴
8000 series SCM8000 非熱可塑性PI 高耐熱性、低吸水性
6000 series SCM6000 非熱可塑性PI 耐熱性、高強度、耐衝撃性
6D00 series SCM6D20-50Bk [開発中] 熱可塑性PI 耐熱性、高弾性率、快削性
SPR6D20Bk [開発中] 熱可塑性PI 耐熱性、高弾性率、快削性、射出成形可能
SPR6D60 [開発中] 熱可塑性PI 耐熱性、炭素繊維強化、射出成形可能
4000 series SPR4500 熱可塑性PI (PEI) 静電気導電性、射出成形可能

 

PBIアドバンストマテリアルズでは、お客様のご要望に合わせて最適な素材をご提案させていただきます。

 

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超高耐熱性ポリイミド SCM8000 series 開発中