2006年12月20日 – プラスチックス成形部品の特殊加工メーカーである佐藤ライト工業株式会社(代表取締役:佐藤利夫、本社:三重県津市)は、同社でカスタマイズ・コンパウンド事業を手掛けるSPLAS(エスプラス)センターが、超耐熱性樹脂として知られるCelazole® PBIポリベンゾイミダゾール(略称:PBI)を取扱い樹脂に追加することを明らかにした。
また、同社によるPBI製品の第一弾として、同社が得意とする圧縮成形を用い、半導体製造およびLCD製造用途向けにESD(静電気帯電防止)特性を発揮する加工用母材「SPLAS ESD PBI」を開発、2007年1月から発売を開始する。

PBI樹脂は、NASA(米国国家航空宇宙局)とAFML(米空軍材料研究所)が共同開発した高機能樹脂であり、現在はPBI Performance Product, Inc.が唯一の製造元であり、今回の取扱い開始に先立ち、佐藤ライト工業社は、同社とPBI樹脂の供給契約を締結している。

PBI樹脂は600℃を超える熱分解温度を持ち、HDT(荷重たわみ温度)は435℃、ガラス転移点が418℃という樹脂材料中、最高の耐熱性を発揮する超耐熱性樹脂であり、消防士向けの防護服用途として世界中で使用されている。同樹脂は、熱可塑性樹脂に分類されているが、溶融するが流動しないという特性のため、単独で使用した場合には射出成形が不可能であり、加工方法としては圧縮成形が用いられる。

同社のSPLAS ESD PBIは、カーボンナノファイバーを添加したPBI樹脂を圧縮成形したもので、このたび同社が発売するグレード「SCM7500」は、ESD(静電気帯電防止)特性として表面抵抗率106~9Ωの半導電性が付与されており、また、カーボンナノファイバーの添加量が4%程度と少ない為、ナチュラルグレードと同等の機械加工性が保持されている。同社では、帯電防止特性が要求される、ICチップトレイ、ICウエハガイドやICウエハチャックといった半導体製造装置向けに需要開拓を進めていく方針である。

同社SPLASセンターの南田所長は「SPLASセンターでは、顧客要求に沿った特性を持たせた樹脂グレードを開発するカスタマイズ・コンパウンド事業を、本年3月より本格的に開始した。現在、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルサルホン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PI(ポリイミド)など、樹脂材料の中でも耐熱性に優れた高機能エンジニアリングプラスチックスを主軸に事業を展開しているが、今回、取扱い材料にPBIが加わったことで、顧客への提案の幅がより一層広がる」としている。

同社SPLAS ESD PBIは、縦横が200mm、厚みは10mm/20mm/30mmの3種類を標準品とし、最大420mm角のサイズまで対応が可能。価格はサイズにより異なるため、同社SPLASセンターにて個別に対応する。発売初年度の売上目標は1億円程度を見込んでいる。

SPLAS ESD PBI:SCM7500の主な物性値

項目 単位 規格 SCM7500 ナチュラルPBI
引張強度 MPa ISO 527 138 160
引張伸び % ISO 527 2.4 3
曲げ強度 MPa ISO 178 193 220
曲げ弾性率 GPa ISO 178 5.4 6.6
シャルピー衝撃値(Notch) kJ/m2 JIS ISO179 27.9 39.4
表面抵抗率 Ohms/sq ESD Association規格 106~9 > 1016

上記数値は代表値であり、保証値ではありません。

超高耐熱樹脂・ポリベンゾイミダゾール(PBI)を取扱い製品にラインナップ